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ケラのブログ

身辺雑記

夜、因果者の夜/幻の名盤解放同盟

幻の名盤解放同盟 プロフィール

漫画家・根本敬(書記長)、音楽評論家・湯浅学(常務)、デザイナー・船橋英雄(社長)の3人が1982年に結成。以来、「すべての音盤はすべからくターンテーブル上(CDプレーヤー内)で平等に再生表現される権利を有するべし」をスローガンに、この世で最も地中に根を下ろしすぎた超俗エブリシング・オールライトな音盤たち(他)の探求に明け暮れること35年(2017年現在)。その活動――イイ顔とイイ歌を既存のあらゆる倫理/道徳、価値体系から解放する行為――が発端となり生じた社会現象が、90年代半ばに脚光を浴びたポンチャック・テクノの帝王・李博士の活躍や昨今の昭和歌謡ブームである事を知る人はおそらく少ない。曰く「平等に聴く耳を持て。音楽に貴賎はない。同情も同調もいらぬ」

歌うばかりが歌ではない、歌わぬ歌手の歌を聴け!

イイ顔とは何か? 合格とは何か?

幻の名盤解放同盟15年にわたる

因果者フィールド・ワークの成果がここに結実。

「夜、因果者の夜」

著者=幻の名盤解放同盟根本敬湯浅学船橋英雄)

幻の名盤やイイ顔、村崎百郎インタビュー、同盟の座談会、いつもの根本漫画(83~84年頃にガロに載った30頁の漫画)、蛭子能収平口広美マディ上原と行った香港の思い出、そして初出年があやふやなコラム等で構成されています。とにかくカオスで濃い、故に人を寄せ付けないパワーを秘めた幻の一冊。

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幻の名盤解放同盟の活動方針のひとつ「真理に時空は無縁なり」に照らし合わし、収録されている記事やコラムは加筆・訂正を加えず雑誌掲載時のまま収録されています。

表題となっている『ガロ』1993年10月号の特集「夜、因果者の夜」も掲載時のまま完全再録されており、電波系鬼畜ライターこと村崎百郎のインタビューも収録されてます。村崎百郎幻の名盤解放同盟の座談会より、個人的に気になった箇所があるのですが

根本敬「俺が心配してるのは、親の因果が隣の子に報うってアレ。俺のやった悪い事や因果が隣に行くんじゃないかって。うちに刃物を持った男がくるはずなのに隣に行っちゃうとか幻の名盤解放同盟『夜、因果者の夜』1997年、ペヨトル工房、153頁

これ村崎さんに本当に報いちゃいましたよね…

そして根本敬さんはある決意をします。

以下は『人生解毒波止場』文庫版解説(町山智浩)より転載

ゴミといえば、村崎百郎だ。

根本さんから「鬼畜のゴミ漁り」として紹介されたのは、

前から知り合いだった編集者・黒田一郎さんだった。

「今夜は朝までゴミ・ハントをコーチしますよ」

 深夜の早稲田、僕と根本さんは

村崎百郎のガイドで路上のゴミを見て回った。

といっても片っ端からゴミ袋を開けるわけじゃない。

「袋を見ただけで、だいたい中身はわかりますよ」

 村崎百郎の言葉は本当だった。

彼が「これだ」と言う袋にはお宝、

つまり日記やノートや写真が入っていた。

 明け方のファミレスでその戦果を確認しながら、

村崎百郎の鬼畜哲学をうかがった。

「僕は根本さんと一緒に、この日本を

下品のどん底に突き落としてやりたいんですよ!」

 その後、村崎百郎は「鬼畜系作家」として活躍することになる。

 

 そして2010年7月23日、

黒田一郎さんが自宅を訪ねて来た32歳の男に刺殺された。

犯人は統合失調症と判断され不起訴、精神病院に措置入院となった。

 

「あの後、練馬警察から電話があったんだよ」根本さんは言う。

「犯人は最初、俺んちに来たんだって」

 警察によると、犯人は根本さんの自宅の近くの

とあるアパートを根本さんの仕事場だと決めつけて訪れた。

だが、それは間違いで、根本さんはそのアパートを借りていなかった。

そこで犯人は黒田さんの自宅に向かったのだというのだ。

「本当は俺がやられるはずだったんだ」

 根本さんは決めた。そのアパートを借りることを。

「これは説明のしようのない衝動なんだ」

 それにしても、いつまた退院してくるかもしれない

犯人が知っている場所に自分から飛び込むなんて。

「うん。でも、この気持ちには一切曇りが無い。

それにこれは村崎さんへの自分にできるいちばんの供養だと思うんだ」

 でも、やるんだよ、と自ら因果鉄道のレールに横たわる人をいくら「無茶ですよ」と説得しても、天から「お前は黙ってろ!」と怒鳴られるだけだ。

彼の決意を聞いて、根本さんが「原理主義」なら

僕は「根本根本(こんぽん)主義」であり続けよう、そう思った。

 

「因果」 [名] 1 原因と結果。また、その関係。

2 仏語。前世や過去の悪業の報いとして

現在の不幸があるとする考え。「親の―が子に報い」

[形動]宿命的に不幸な状態におかれているさま。

不運なさま。「頼まれるといやと言えない―な性分」