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日テレ版ドラえもん決定稿台本「のろいのカメラの巻」

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●声の出演
静香 - 恵比寿まさ子
ぼた子 - 野沢雅子
デブ子 - つかせのりこ
シャマ子 - 吉田理保子

●スタッフ
原作 - 藤子・F・不二雄*1

脚本 - 井上知士

CD - 上梨満雄

制作 - 下崎闊

製作 - 日本テレビ動画

著作 - 日本テレビ放送網

第14話「のろいカメラ作戦」→6-A話「のろいのカメラの巻1973年5月6日放送

 

 

のび太の部屋
 
のび太「うわーん」
 
のび太が大声で泣きながら帰ってくる
 
ドラえもん「ぬ ぬー またか!」
 
のび太ドラえもんの膝に泣き崩れる
 
のび太ドラえもん ぼ ぼくはもう くやしくてくやしくて!」
 
ドラが烈火の如く怒る
 
ドラ「いわなくてもわかってる またスネ夫にバカにされたんだろう あんチクショーッ 今日という今日はガマンならんぞ メッタメタにしてやるーっ!!」
 
云うなりビューンと外へ駆け出して行くドラを見送って のび太はクスンと鼻をすすり
 
のび太「まだ何も云ってないのにぼくの気持ちをわかってくれるなんて やっぱりぼくのドラえもんだな……クスン」
 
〇通り
 
ドラえもんがダンプのように駆けてゆく
 
ドラ「おのれ のび太を馬鹿にするということはぼくを馬鹿にするということだ ゆるせーん!」
 
道行く人や犬がふっ飛ぶ
 
ドラ「さて ところで問題はどうやってスネ夫をやっつけるかだが──」
 
ドラの顔が次第に恐ろしい悪鬼と化す
 
ドラ「ここに恐るべき機械がある 余りにも残酷なためにこれこそ悪魔の発明といわれる世にも恐ろしいのろいカメラだっ!」
 
ジャジャーン!
 
悪鬼のように笑ってポケットからとり出したのは 一見なんの変哲もないカメラであった
 
だがドラは恐ろしさにおののく
 
ドラ「もし こののろいカメラで スネ夫を写すとスネ夫はどうなるか…うーん 考えただけでも恐ろしい! し しかしぼくはやる あの憎いスネ夫をこらしめるために ぼ ぼくはやる!」
 
ドラが敢然と表をあげたとき むこうからスネ夫が静香と連れだって来る
 
スネ夫「とにかく静香ちゃん のび太なんかとつきあわない方がいいよ」
 
静香「アラ どうして?」
 
スネ夫「決ってるじゃないか あんなバカのマヌケのトンマ それに あのドラえもんがまたのび太に輪をかけたくらいの大バカのマヌケでね!」
 
電柱の陰でドラがうめく
 
ドラ「チクショウ いいたいこといっちゃって いまにみてろー!」
 
ドラはサッとカメラを構える
 
そんなことは夢にも知らぬスネ夫──
 
スネ夫「それに比べてぼくはどう お金持ちでハンサムで しかもどんなことが起っても驚かない男の中の男!」
 
電柱の陰からカメラを構えたドラが
 
ドラ「ぬ ぬーっ いまにその化けの皮をはがしてやるからなっ!」
 
とシャッターを押そうとするが……どうしても押せない
 
ドラ「ム ムーッ!」
 
タラリと油汗が流れる
 
ドラ「だ だめだ とてもできない たとえどんな悪人でも これを使うのは余りにも残酷だ!」
 
ガックリとうなだれたドラに スネ夫が気付いて
 
スネ夫「なんだ ノラえもんじゃねえか そんなところで何やってんだ ノラ公」
 
ドラ「ノ ノラ公?!……ノラ公とは何だ ノラ公とは!」
 
スネ夫「ヒヒヒ 怒れ怒れ おまえの怒った顔みてるとたいくつしないぜ」
 
ドラは怒りにふるえる
 
ドラ「ぬ ぬーっ いわせておけばーっ よ よおし もう許さんぞーっ!」
 
とカメラを構える
 
スネ夫「ヘエ 写真とってくれるってのかい いいねえ チーズ」
 
スネ夫はポーズをつくる
 
しかしドラはガタガタとふるえる
 
静香「あら どうしたの」
 
ドラ「だ だめだ や やっぱりぼくにはシャッター押せない!」
 
云い捨ててダッと駆け去るドラに
 
スネ夫「なんでなんでえ ヤイ ノラ公 おまえフィルムがおしいのか ドケチ虫!」
 
のび太の家・玄関
 
ドラえもんがくやし涙を流しながら帰ってくる
 
ドラ「クーッ ノラ公と云われ ドケチ虫とののしられてもぼくにはこの恐ろしいのろいカメラは使えなかった」
 
ドラは上りがまちにカメラを置いてガックリと座り込む
 
ドラ「でも これでよかったんだ ぼくさえガマンすりゃこののろいカメラを使わなくて済むんだもの あーァ あまり緊張して疲れちゃったなァ」
 
ドラはガックリと下駄箱によりかかる
 
〇仝 のび太の部屋
 
のび太「フフフ ドラえもん いまごろぼくの仇だって スネ夫のヤツをコテンパンにやっつけてくれてるだろうな よし 望遠鏡で見物してやろ」
 
のび太は望遠鏡をもって窓辺に立ち のぞく
 
のび太「えーと どのあたりから……あーっ!」
 
──望遠鏡がとらえたスネ夫は コテンパンどころか 元気いっぱいで いましも近所のノラネコをボインと蹴とばしていたではないか──
 
のび太「ど どうなってんの スネ夫のやつピンピンしてるじゃないか!」
 
〇仝・玄関
 
二階の階段からのび太が駆け降りる
 
のび太「おーい ドラえもん 話が違うぞーっ どこにいるんだ ドラ……あーっ ド ドラえもん!」
 
みればドラえもん 上りがまちに腰かけたまま 下駄箱にもたれて 鼻提灯をふくらまして「グウ」と寝ている その前にカメラ
 
のび太「のんきだなァ スネ夫をやっつけるなんていいながら カメラなんかいじって遊んでたのか」
 
のび太はカメラを持って
 
のび太「よおし 罰にそのおかしな寝顔写してやる」
 
のび太がシャッターを押した瞬間 ピカーッ! ゴロゴロ!
 
一瞬カメラから すさまじい稲妻と雷鳴が轟く
 
「キャーッ!」
 
のび太は髪の毛を逆立て 卒倒する だが 次の瞬間 あたりはうそのように静まり返り ドラえもんも何事もなかったように「グウグウ」寝ていた
 
のび太「…変だな いまこのカメラからすごい雷が鳴ったようだったけど 気のせいかな あれ?!」
 
そのときカメラからポトリと何やら転がり出した みればそれは ドラえもんそっくりの小さな人形だった
 
のび太「へーっ こりゃおもしろいや このカメラで写すと写真のかわりに こんな人形がとれちゃうのか よし今度はお父さんとお母さんを写しちゃお!」
 
〇居間
 
お父さんとお母さんがニコニコしながら並んでいる のび太がカメラを構え
 
のび太「ハイ もっとくっついて」
 
お父さん「よしよしこうかい」
 
お母さん「うまく撮ってよ」
 
のび太「ヘヘヘ 知らぬが仏…ハイ チーズ!」
 
カシャ!とシャッターを押すと ピカッ! ゴロゴロゴロゴロ!
 
〇仝 のび太の部屋
 
のび太が机の上にドラとお父さんとお母さんの人形を並べて
 
のび太「さすがドラえもんのカメラだ 人形がとれるなんて仲々しゃれてるよ でも この人形どうするかな あっ そうだ 人形が好きなのは女の子だ 静香ちゃんにプレゼントしよう」
 
〇静香の家・表
 
のび太がリボンをかけた箱を静香に渡す
 
側で ぼた子がうらやまし気に見る
 
のび太「あのね こないだきみの誕生日になにもプレゼントしなかったろ だから」
 
静香「まァ どうもありがと わたし可愛いいお人形さんて大好き」
 
ぼた子「わたすもお人形大好きだべ」
 
〇仝・静香の部屋
 
静香が包みを開けて驚く
 
静香「アラ なに このお人形」
 
例のドラえもんたち三人の人形である
 
ぼた子「あんれま ドラえもん人形でねェか!」
 
静香「これじゃ あまり可愛いくないのね ぼた子さんにあげるわ」
 
ぼた子「わ わたすだって めんこい人形は好きだども…」
 
ぼた子もどうやらあまり嬉しくない
 
のび太の部屋
 
「えェーッ」
 
どらえもんが真っ青になって愕く
 
ドラ「そ そ それじゃこののろいカメラでとったぼ ぼ ぼくの人形をーっ!!」
 
のび太「ああ 静香ちゃんにあげちゃったよ」
 
ドラ「タハーッ な なんということをしてくれたんだ その人形が人の手に渡るとどんな恐ろしいことになるか知ってるの!?」
 
のび太「知らないよ」
 
ドラ「し 知らなきゃはっきり教えてやる まず こののろいカメラでのび太を写す!」
 
ドラがシャッターを押す
 
のび太「そうすれば ぼくの人形が出てくる」
 
カメラがポトリとのび太の人形が出てくる
 
ドラ「そう しかし この人形が問題なんだ みてろ 例えば釘でこの人形の腕をつっつくとどうなるか──
 
人形の腕をつっ突く
 
のび太「あらっ」と腕をもむ
 
ドラ「どうだ わかったかい?」
 
のび太「えっ!」
 
ドラ「ちぇ とろいなー じゃこうだ」
 
ドラ 人形の頭をコツンとたたく
 
のび太「ハレ」と頭をこづかれる
 
さらにドラ 人形にけたぐりをくわせたり くすぐったりする
 
それがそのままのび太に伝わって さんざんな目に会うのび太
 
ドラ「これでわかったろう このカメラでとった人形になにかされると 本人にそのまま伝わるんだ」
 
のび太「と ということは もしもだれかがドラえもんの人形をバラバラにしたら──
 
ドラ「決ってるじゃないかっ ぼくの体もバラバラになっちゃうんだよーっ!
 
そのことばにゾーッとふるえ上るのび太
 
〇通り
 
ドラとのび太が狂ったように駆けてくる
 
ドラ「静香ちゃーん!」
 
のび太「さっきの人形 返してーっ!」
 
〇静香の家・表
 
静香「あら さっきの人形ならぼた子さんにあげちゃったわ」
 
のび太「えェーッ! ぼ ぼた子に?!」
 
ドラ「あの恐ろしいぼた子にーっ!!」
 
のび太「そ それでぼた子はどこにいるの!」
 
静香「さァ なんだかさっき 近所の小ちゃな女の子たちと遊んでたけど どこへ行ったのかしら」
 
のび太「よおし さがすんだ ぼた子 ぼた子ーっ!」
 
ドラ「どこだぼた子 ぼくの人形を返せーっ!」
 
と駆け出した途端 コテンとひっくり返るドラえもん
 
ドラ「痛てて! チ チクショウ ぼ ぼくの人形 投げ出したなっ!」
 
〇シャマ子の家・庭
 
芝生の上に人形が転がる
幼稚園に行くか行かないかくらいのシャマ子とデブ子が人形を見て
 
シャマ子「まァ 変なお人形!」
 
生桓(※生垣の誤字)の外からぼた子が
更にお父さんとお母さん人形をポイと投げ込んで
 
ぼた子「そんだらこつ言うもんでね これでもお医者さんごっこくらいできるだべ」
 
シャマ子「ちようね お医者(ちゃ)ちゃんごっこならできるわね」
 
デブ子「ちようちよう!」
 
シャマ子「わたちお医者ちゃん」
 
と道具の入った箱を持ってくる
 
デブ子「わたち 看護婦ちゃん」
 
と敷きものを持ってくる
 
のび太の家・居間
 
お父さんは寝っ転がってテレビを見ている
お母さんは編み物
 
お母さん「のび太ドラえもんも遅いわね せっかくの日曜だっていうのに」
 
お父さん「ま いいじゃないか それより母さん どうも体がムズムズするんだがね ノミでもいるんじゃないかね」
 
お母さん「まさか 変なこと云わないで」
 
そう云いながらお母さんもムズムズして
 
お母さん「アラ どうしたのかしら そういえば私も…変ね」
 
〇シャマ子の家・庭
 
デブ子がお母さん人形をベッドに置き
 
デブ子「ちぇんちぇ 診てくだちゃい お熱があるんでちゅ」
 
医者のシャマ子が体温計で計って
 
シャマ子「まァ 大変でちゅよ 八百度もありまちゅ 早く冷やさないと死んじゃいまちゅよ!」
 
デブ子「うーんと でもどうやって冷やちゅの?」
 
と縁側で見ていたぼた子が無責任にいった
 
ぼた子「そったらこつ 簡単でねえか 冷蔵庫があるべ 冷蔵庫が」
 
〇仝・台所
 
デブ子がお母さん人形をもって冷蔵庫に駆け寄る
 
デブ子「ちょうでちゅね 冷蔵庫に入れちゃえばいいんでちゅね」
 
のび太の家・居間
 
お母さんがゾーッとふるえ上る
 
お母さん「キャーッ 冷たいーっ!」
 
お父さん「ど どうしたんだね?」
 
お母さん「そ それが なんだか急に寒気がしてーっ!」
 
ガタガタとふるえるお母さん
 
〇シャマ子の家・庭
 
デブ子がお父さん人形をベッドに置く
 
デブ子「今度はお父さん人形の番でちゅ」
 
「ハイハイ」とシャマ子が体温計で計って
 
シャマ子「アラ 大変今度はお熱が全然ありまちぇん 早くあっためてくだちゃい」
 
デブ子「うーんと あっためるって どうちゅればいいの?」
 
又してもぼた子が無責任にいった
 
ぼた子「そったらこつ 簡単でねえか ガスレンジがあるべ ガスレンジが」
 
〇仝 台所
 
デブ子がお父さん人形をもってガスレンジに駆け寄る
 
デブ子「ちょうでちゅね ガスレンジに入れちゃえばいいんでちゅね」
 
のび太の家・居間
 
お父さんが真赤になって叫ぶ
 
お父さん「ウヘーッ 暑いっ た たすけてくれーっ 暑いよーっ!」
 
お父さんは七転八倒 着物をはぎ取る その側ではお母さんが何枚もふとんをかけた寝床でガタガタふるえている
 
お母さん「寒い 寒い──っ! 」
 
お父さん「暑い 暑い──っ!」
 
お父さんは扇風機を回し 滝のように汗を流す
 
〇空
 
ドラとのび太がヘリトンボで飛ぶ
 
ドラ「急げのび太 早く人形をとり戻さないと大変なことになるぞ!」
 
のび太「だからぼた子を探すんだ 急げ!」
 
ドラ「おーい ぼた子ーっ どこだーっ!」
 
のび太「人形を返せーっ!」
 
と突然ドラが空中でケタケタと笑い出す
 
のび太「お おい 気でも狂ったのかドラえもん!」
 
ドラ「ウヒャヒャヒャ そ それが急になんだかくすぐったくなって…フヒャヒャヒャ やめてくれ 体をなでまわすのはやめてくれーっ アヒーっ!」
 
〇シャマ子の家・庭
 
ベッドにドラ人形をねかせ シャマ子が体のあちこちを診察している
 
シャマ子「まァ 大変でちゅ この患者さん頭も胸もお腹も手足もみんな悪いでちゅね!」
 
デブ子「どうちまちょ!」
 
シャマ子「すぐ手術しないと手遅れになっちゃいまちゅ」
 
デブ子「でも 手術ってどうやってちゅるの?」
 
またまたぼた子が無責任に云い放った
 
子「そったらこつ 簡単でねえか まんず手術の前にこの注射器で麻酔すて それからこの包丁で サクッ!」
 
片手に注射器 そして片手に包丁をもって
ぼた子がニタッと笑った
 
ドラとのび太が空を飛ぶ
 
ドラ「フーッ やっとくすぐったいのは治ったけど なんだかイヤな予感がしてきたぞ」
 
のび太「急げ 一刻も早くとり戻すんだ!」
 
と突如ドラが「イテテテ!」と叫んだ
 
のび太「ど どうしたドラえもん!」
 
ドラ「な なんだか腕に注射されたみたいだ!」
 
のび太「エーッ そ そりゃ大変だ 今度は何をされるかわかんないぞ」
 
〇シャマ子の家・庭
 
シャマ子がドラ人形のお腹の上にグイと包丁を突き付けて
 
シャマ子「さァ いよいよ手術でちゅ!」
 
云いざまサッ!と包丁を振りあげた
 
あわや 人形のお腹にザックリ! と そのときデブ子が云った
 
デブ子「あら?!」
 
シャマ子「どうちたの?」
 
デブ子「かわいちょうに 死んじゃいまちた 手遅れでちゅ」
 
シャマ子「どうちまちょ」
 
ぼた子「そったらこつ 簡単でねえか 葬式すればええでねえか 葬式を
 
スネ夫「なに 葬式 おもしろそうじゃねえか おれ葬式って大好きなんだ やろうやろう おれも手伝うぜ
 
スネ夫は喜々として庭にマキを運び込む
 
ぼた子「あんれま マキなど集めてなにするだ?」
 
スネ夫「決ってるじゃねか ちゃんと本式に火で焼いて お墓に埋めるんだよ
 
〇空
 
ドラがヨタヨタになって飛ぶ
 
ドラ「フーッ なんとか首は切られなくて済んだけど こんどこそなにされるか分からない 頼むよのび太 早く捜し出してくれ!」
 
のび太「そ そんなこと云っても…あーっ いた あそこの庭だーっ!」
 
見れば 眼下の家の庭から一条の煙が昇っている と ドラが叫ぶ
 
ドラ「ウギャーッ アチッ アチアチ!!」
 
〇シャマ子の家・庭
 
たき火を囲んでスネ夫 ぼた子 シャマ子 デブ子の四人がお経をあげている
 
「ナンマイダ ナンマイダ ナンマイダ」
 
見れば火の中にドラ人形 と 突然一同の頭上から
「アチーッ!」という叫び声とともにドラが落ちてくる
 

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スネ夫「あれ ドラ公が化けて出やがったぜ
 
ドラ「バ バカッ やめろ アチチ あついじゃないか!」
 
スネ夫「へえ するとこのドラ人形になにかするとおまえも同じ苦しみに会うってわけか たとえばこうすると──
 
スネ夫はサッカーボールのようにドラ人形を足でポンポン蹴りあげると
 
ドラ「こ こら やめろっ ヒィーッ!」
 
ドラは人形と同じようにポンポンはずむ
 
ぼた子「おもしれーっ スネ夫 こんどはちょっくらこっちに投げて見れ!」
 
云いざまぼた子はバットを構える
 
スネ夫「よーし 行くぜ それーっ!
 
スネ夫の投げたドラ人形を ぼた子はフルスイング一発「カキーン!」とみごとに大空に打ちあげた 人形とドラが並んで飛んでゆく
 
「あれーっ!」とその人形とドラを空中でガッシリ受けとめたのはのび太であった
 
のび太「安心しろ た 助かったぞ!」
 
ドラ「チ チ チクショーッ スネ夫とぼた子のやつ よくもぼくをこんなひどい目に会わしたな この仇は必ずとってやるーっ!
 
〇通り
 
スネ夫とぼた子が「ウヒャヒャヒャ」と笑いながら行く
 
スネ夫「ウヒャヒャヒャ ドラえもんのバカが 思い出してもおかしいぜ ブヒャヒャヒャ」
 
ぼた子「んだんだ さだめしドラえもんもこのぼた子さまの力にはこんりんざい参ったことだべ ウヒャヒャヒャ」
 
と笑ったぼた子が「ム?!」となる
みればなんということか 彼女のスカートが突然ピラッとめくれたのだ
 
ぼた子「あんれま!」
 
とあわてて押えた彼女の手もとから ツルンとすべり落ちたのは なんとフリルのついたパンティだった
 
ぼた子「ハレーッ!」
 
道ゆく人は一瞬目をおおう スネ夫もハッ!と目をおおう と どうだろう 今度はスネ夫のズボンからジャーッとおしっこがほとばしった
 
スネ夫「ハ ハレッ!」
 
道ゆく人がこれを見て笑い転げる
 
スネ夫とぼた子はいたたまれず
 
は 恥ずかしーっ!」と無残なかっこうで逃げて行く
 
のび太の部屋
 
のび太とドラが「ウシシ!」と笑う
みれば のび太はぼた子人形のスカートをめくり
ドラはスネ夫人形の下半身にヤカンで水をかけていた
 
のび太「ケケケ ザマアミロ!」
 
ドラ「キキキ これで仇はとったぜ!」
 
──終──

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とりあえず経緯を話します。
この決定稿台本は今年7月に、まんだらけ様のオークションに出品されたもので、このたび偶然落札者様と連絡が取れ、全頁分のスキャンデータを提供して戴きました。
 
自分だけが読めても勿体ないし、そもそも本編自体が視聴不可能な訳ですから、全文を原文のまま書き起こしました。そしてこの度、貴重なデータを提供して下さったMark Acrylic様にこの場を借りて感謝の意を表したいと思います。──ケラ

*1:てんコミ4巻-第1話「のろいのカメラ」より