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青山正明「六年四組学級新聞」(ミニコミ誌『突然変異』3号所収)

青山正明「六年四組学級新聞」第2回

初出:突然変異(突然変異社)第3号

 

先月(10月)の17日、私は二階の自分の部屋で独り横たわり、友達ののんこから借りた「おはようスパンク」の第2巻を読んでいました。

すると突然何かおへその下の方に、うずくような感じがしました。あっと思ってスカートの中を覗いて見ると、ももの所まで赤いものがくっついてました。

女の子から女になった私。クラスのみんなはもうすんだのかな。きもちわるいけど、大人になったって感じ。これからは、お姉さんらしくしなくちゃ。しっかりしなくちゃ。

好きな男の子が私のこといやがらないかしら。不潔だなんて言って……。やさしい男の子なら分ってくれるわね。喜んでくれるわね。私、大人になったんですもの。

人はどうして大人になると、悲しい恋をするのかしら。私は、私のこの手で夢をつかむの。ステキな事がいっぱい起こって、ステキな人が私を待っていてくれる。きっと素晴らしいお嫁さんになるわ。たくさんの子供たちに囲まれて……。

 

ここ2~3年、夜半ふと目を覚ますと、そのまま朝まで眠れない事がしばしばでした。台所仕事をしていると、ポッと顔がほてったり……。

歳40も半ばを過ぎた頃、覚悟はしていました。そして、今年。偶然にも一番下の娘にお祝いをしてやったこの年に、とうとうその時を迎えました。

少女の夢を追い、それが実を結び、平和な家庭を築き、子を生み、育て、女としての存在が絶対的なものとなった今。あの時、幼な子から女になったように、今度は再び、女をはなれ、人間としての完成に向かいます。

老年というのは、人生を見下ろす豊かな高みに、ゆっくりした足どりで歩む時期でしょう。時期ここに及んで、私にもまだ一つ夢があります。

若い頃知りあい、ずっと私のそばにいてくれた夫。私の人生というほんとうにささやかなドラマをいっしょにこしらえてきてくれた夫。そんな夫と、そっとお互いの手をとって、安らかな人生の終息を迎える夢が……。