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伝説の鬼畜系ライター村崎百郎(黒田一郎)が遺したオウム論「ゲス事件/ゲスメディア/ゲス視聴者」と「導師(グル)なき時代の覚醒論」

地下鉄サリン事件のあった1995年、太田出版から『ジ・オウム―サブカルチャーオウム真理教』というサブカルチャー系の文化人がオウム真理教を解説しまくる大変珍しいオウム本が出版された。同年デビューした鬼畜系ライターの村崎百郎も「ゲス事件/ゲスメディア/ゲス視聴者」と題した原稿を寄稿している*1

本書の執筆陣は宇川直宏根本敬中原昌也福田和也村上隆岡田斗司夫村崎百郎福居ショウジンと何かと豪華であるが、大変残念なことに本書はすでに絶版で現在は入手困難であり、古書価格も1万円近くまで高騰している。一発検索のワールドワイド時代、紙の文化にアクセスすること自体が容易でなくなってきているということを痛感させられた。

しかし、本書をこのまま歴史の闇に葬り去られて行くには余りに惜しい。さらに今年はオウム死刑囚全員の死刑が執行され、例年になくオウム真理教に注目が集まった年でもある。このたび本書を入手出来たので麻原と村崎亡き今、村崎の貴重なオウム論をブログ上復刻してみようと思った次第である。

なお初出となった本書には黒田一郎の「導師(グル)なき時代の覚醒論」も寄稿されている(後述)。

ゲス事件/ゲスメディア/ゲス視聴者

村崎百郎












ちなみに本書には黒田一郎の原稿も収録されている。

黒田を御存知ない読者がいるかもしれないから彼の正体を説明しておこう。

黒田一郎とは村崎百郎の本名である

さらに村崎は中卒の工員と紹介されているの対し、黒田は明治大学卒でペヨトル工房*2の社員と紹介されている。なお同95年7月創刊の青山正明『危ない1号』(データハウス)には「編集協力者」として黒田のクレジットも記載されている。が、村崎と黒田はあくまで「別人」という設定であり、筆致もだいぶ異なっている。

なぜこのような寄稿を行ったのか?…

それは村崎百郎のパブリック・イメージでは伝えきれないものがあったのかもしれない。いずれにせよ「黒田一郎」の寄稿は鬼畜系の「村崎百郎」を補完する上で重要な試みであったことは間違いがないだろう。

導師(グル)なき時代の覚醒論

黒田一郎





*1:村崎百郎は『ユリイカ』1995年4月臨時増刊号「悪趣味大全」にも「ゲスメディアとゲス人間/ワイドショーへの提言」と題した共通のテーマの原稿を寄稿しており、これが事実上のデビュー作となった。この原稿はアスペクト編『村崎百郎の本』に収録されている

*2:かつて雑誌『夜想』を出版していた特殊出版社。黒田一郎はアルトーウィリアム・バロウズ幻想文学を担当した。