Underground Magazine Archives

雑誌周辺文化研究互助

吾妻ひでおの『夜の魚』に見る80年代の不毛と地続きの今

大塚英志『教養としての〈まんが・アニメ〉』では吾妻ひでおの『夜の魚』という短編について10頁ほど紙幅を割いて取り上げている。 この作品は「吾妻本人の無意識」が非常に顕著に出ており、おそらく吾妻本人も大塚の指摘で、この作品の真価を知ったのかもし…

成熟した女を愛せないロリコン・ボーイの世界からキミは本当に脱出しているか(1982年当時におけるロリコンブームの考察)

(左から少女、四谷永一郎、沖由佳雄、早坂未紀、蛭児神建) (大衆週刊誌におけるロリコンブーム特集に言及した米沢嘉博の記事) 下記の文章は雑誌『GORO』1982年3月11日号に掲載された「ロリコン」についてのルポです。1982年春というと少女写真集やコミケ…

幻の漫画雑誌『Peke』休刊のお知らせ(Peke 1979年2月号 編集後記)

幻の漫画雑誌『Peke』 1978年晩夏から1979年初頭まで半年間だけあった漫画誌『Peke』(みのり書房)。廃刊号では『COM』を大特集しながら自らも幻の雑誌となった。 全国のマンガファン諾君! とりわけペケに結集する戦斗的愛読者諸君!! 今や70年代を終わろう…

三流劇画ムーブメント・エロ劇画ルネッサンス・ニューウェーヴが残したもの(1982年時点から見たニューウェーブ漫画の黄昏)

月刊『宝島』臨時増刊号『マンガ宝島』JICC出版局 1982年2月 三流劇画ムーブメント・エロ劇画ルネッサンスが残したもの―『アリス』『エロジェニカ』『大快楽』はニューウェーブを起用した 北崎正人 『劇画アリス』『漫画エロジェニカ』が78年三流劇画ブーム…

米沢嘉博「ロリコンブームに物もうす──そりゃカワイイ女の子は好きさ。でも、ちょっと考えてくれ──ファッションとしてのロリコンなんて歪んでると思わないか」(月刊OUT 1982年4月号)

隆盛するロリコンブーム(二次元コンプレックス)に警鐘を鳴らす故・米沢嘉博の記事。最下段にそれまでの流れも概説。 ロリコンブームに物もうす by 米沢嘉博 みのり書房『月刊OUT』1982年4月号 美少女キャラはうれしいが 疑似体験を重くするなんて 社会や世…

米沢嘉博「同人誌エトセトラ」第1回「シベール神話の誕生」

米沢嘉博が阿島俊名義で『レモンピープル』創刊号(1982年2月号)から休刊号(1998年11月号)まで18年間にわたり計187回連載していた同人誌紹介記事。創刊当初の題は「ロリコン同人誌ピックアップ」。'82年12月号のリニューアルから「同人誌エトセトラ」に改…

「美少女」たちを主人公にしたロリコンブームは、いま同人マンガ誌の世界で大盛況だ。『レモンピープル」を筆頭に同人誌的な季・月刊誌、単行本が、かつての『ガロ』『COM』のような勢いなのだ。

「美少女」たちを主人公にしたロリコンブームは、いま同人マンガ誌の世界で大盛況だ。『レモンピープル』を筆頭に同人誌的な季・月刊誌、単行本が、かつての『ガロ』『COM』のような勢いなのだ。 米沢嘉博 所載『朝日ジャーナル』1984年5月14日号 二年ほど前…

亀和田武『劇画アリス』+高取英『漫画エロジェニカ』+川本耕次『官能劇画』+迷宮'78編集部「座談会:三流劇画バトルロイヤル」(プレイガイドジャーナル 1978年8月号 特集・ぼくたちのまんが その3 君は三流劇画を見たか 迷宮'78編集)

君は三流劇画を見たか 迷宮'78編集 所載:雑誌『プレイガイドジャーナル』1978年8月号「特集・ぼくたちのまんが その3 君は三流劇画を見たか 迷宮'78編集」 青年まんがという言葉がある。この言葉はそれまで少年まんがのワクの中でしか発揮されていなかった…

三流劇画ブームの頃/高取英(元『漫画エロジェニカ』編集長)

三バカ劇画ブーム 高取英(元『漫画エロジェニカ』編集長) 『漫画エロジェニカ』(海潮社)1978年11月号が発禁となってから20年の歳月が流れた。それを記念して何か書けとダーティ松本氏がいうのでこれを書く。 当時、『漫画エロジェニカ』は、『漫画大快楽…

ワンダーキッズ(高木秀隆)/フェアリーダスト(吉田尚剛)インタビュー「ロリータアニメの創り手たち」──アダルトアニメの黎明期

インタビュー「ロリータアニメの創り手たち」 構成・秋野宴 所載『ビデパル』1985年1月号 ワンダーキッズ フェアリーダスト またまたくりいむレモンが美少女アニメの世界へ……連れてってあ・げ・る アダルトアニメは今年(1984年)7月以来今月迄ヒットチャー…

蛭児神建の引退宣言「魔界に蠢く聖者たち」「蛭児神建日記」ほか

魔界に蠢く聖者たち 蛭児神建日記/最終回 お坊さまになった元ロリコン教祖 魔界に蠢く聖者たち 蛭児神建 第60話/シー・ユー・アゲイン 所載『レモンピープル』1987年11月号 突然ですが……思うところあって、私はペンを折る決心をいたしました。だから勝手で…

吾妻ひでおと『漫画ブリッコ』の時代―ロリコンまんがの果たした役割(大塚英志「ぼくと宮崎勤の'80年代 第10回 マッチョなものの行方」)

ぼくと宮崎勤の'80年代 第10回 マッチョなものの行方 大塚英志 『諸君!』1998年7月号所載 (中森明夫の「おたくの研究」が初掲載された『漫画ブリッコ』1983年6月号) '80年代という時代の特異さは、男たちが作り、消費していく性的メディアが女性たちによっ…

漫画ブリッコ盛衰記─なつかしの業界ケンカ史

漫画ブリッコ盛衰記──なつかしの業界ケンカ史 美少女漫画の終末に到る道~誰もが気がつかなかった「昭和60年」の美少女漫画カタストロフ序章 池本浩一 所載『レモンクラブ』1991年8月号~12月号 (中森明夫の「おたくの研究」が初掲載された『漫画ブリッコ』…

フレッシュ・ペーパー【肉新聞】No.10(編集人/青山正明)

Flesh Paper 肉新聞 No.10 編集人=青山正明+股見けい子 リーガルドラッグ体験手記 その2 コルゲンコーワ鼻炎ソフトカプセル 正明君のリーガルドラッグ奮闘記 私は毎日新聞のお嫁さんになりたい!! SFロリータポルノ小説「ロリータメコちゃんねたまれた学園…

青山正明「六年四組学級新聞」(ミニコミ誌『突然変異』3号所収)

青山正明「六年四組学級新聞」第2回 初出:突然変異(突然変異社)第3号 先月(10月)の17日、私は二階の自分の部屋で独り横たわり、友達ののんこから借りた「おはようスパンク」の第2巻を読んでいました。 すると突然何かおへその下の方に、うずくような感…

米沢嘉博「病気の人のためのマンガ考現学・第1回/ロリータコンプレックス」(みのり書房『月刊OUT』1980年12月号)

病気の人のためのマンガ考現学/第1回 ロリータコンプレックス 米沢嘉博 所載:みのり書房『月刊OUT』1980年12月号 pp.96-97 さて、連載第一回目なので、このページの目論見を記しておくことにしよう。 同病相憐れむとか言って、病気の人にはなんとなく仲間…

ロリコン同人誌レビュー「幻の『シベール』伝説にはじまるロリコン同人誌の覚醒期を経て今日のブーム到来までをロリコン雑誌研究家・原丸太がドキュメント」

ロリコン同人誌レビュー(原丸太 with 志水一夫) 幻の『シベール』伝説にはじまるロリコン同人誌の覚醒期を経て今日のブーム到来までをロリコン雑誌研究家・原丸太がドキュメント 所載:アニメージュ増刊『アップル・パイ美少女まんが大全集』徳間書店 82年…

吾妻ひでお+谷口敬+野口正之+蛭児神建+早坂未紀+川本耕次「ロリコン座談会:ロリコンの道は深くて険しいのだ」

ともかくブームだそうである、美少女がだ。ならば、とその筋の“権威”の先生方に集まっていただいたわけですが……ああ恐ろしや、恐ろしや。 ロリコン座談会 ロリコンの道は深くて険しいのだ。 所載:ラポート刊『ふゅーじょんぷろだくと』1981年10月号「特集 …

大魔神・蛭児神建の怒り─なつかしの業界ケンカ史

大魔神・蛭児神建の怒り──なつかしの業界ケンカ史 池本浩一 (吾妻ひでおの漫画に登場した蛭児神建) この記事は池本浩一が1990年12月から1991年7月まで『レモンクラブ』(現『コミックMate』編集者の塩山芳明が90年代に編集していたエロ漫画誌)に連載して…

ロリコンマンガブームの裏に潜む現代社会の抑圧された性(吾妻ひでお・内山亜紀・千之ナイフ・川本耕次・高桑常寿・蛭児神建・原丸太)

ロリコン漫画ブームの裏に潜む現代社会の抑圧された性 このブームはどこからきたのか ロリマンガに火をつけた同人誌 ロリータ・コンプレックスとは 何故架空の少女を求めるのか? 空想じゃなくて妄想の世界…… ブームを作ったマンガ家たちは 女の子のロリコン…

ロリコンファンジンとは何か(80's創作同人とその周辺)──その過去・現在・未来 ロリコン同人誌界分布図の試み by 原丸太 with 志水一夫

ロリコンファンジンとは何か──その過去・現在・未来 ロリコン同人誌界分布図の試み by 原丸太 所載:『ふゅーじょんぷろだくと』1981年10月号「特集/ロリータ あるいは如何にして私は正常な恋愛を放棄し美少女を愛するに至ったか」pp.92-98 ロリコン誌3つの…

『世紀末倶楽部』編集人が語る「ゴミ、クズ、カスのお宝雑誌」

ゴミ、クズ、カスのお宝雑誌 悪趣昧雑誌の流行は今に始まったわけではない、昔から大衆の好奇、あけすけな視ることへの欲望はおおよそ悪趣昧なものだといえよう。 作文●土屋静光(つちやせいこう) プロフィール/あの『世紀末倶楽部』の編集人。現在『トラ…

竹熊健太郎×岡田斗司夫 オタク・サブカル大放談 “鬼畜”に走るサブカル雑誌に未来はあるか?

竹熊健太郎×岡田斗司夫 オタク・サブカル大放談 “鬼畜”に走るサブカル雑誌に未来はあるか? 雑誌の世界は今、サブカル雑誌ブームで、オシャレ系や鬼畜系など百花繚乱。なかでも“鬼畜系”と呼ばれる惡趣味とグロを売りにする雑誌が人気だ。退屈な時代を反映して…

今こそ「鬼畜」になれ! 「アングラ/サブカル」が必要なわけ(村崎百郎)

今こそ「鬼畜」になれ! 「アングラ/サブカル」が必要なわけ 談=村崎百郎 構成=STUDIO VOICE なぜ「アングラ/サブカル」なのか? あるいは、「腑抜けたブタ」どもへ! 「アングラ/サブカル」は消滅したのか? あるいは、きっかけとしての「サブカル雑誌」 …

大学生ビジネスジの間にロリコン趣味が激増! 慶大のキャンパス誌やアングラ誌には“狙われた”美少女のあどけない笑顔が!

慶大のキャンパス誌やアングラ誌には“狙われた”美少女のあどけない笑顔が! 大学生ビジネスジの間にロリコン趣味が激増! 所載:『週刊宝石』2号(1981年10月24日発行/光文社) その道の雑誌が何10万部というベストセラーになり、ときには“直接行動”による犯…

若者を覆う“ロリコンブーム”の仕掛人 (高取英)

若者を覆う“ロリコンブーム”の仕掛人 高取英(マンガ評論家) ロリコン学生の殆どが童貞 オナペット文化の産物 元祖としての「アリスブーム」 三流劇画誌に美少女路線登場 少女マンガを読むオトコのコ 変態派、実践派は邪道? ロリコン大学生の行く末は ロリ…

70年代の自販機本から、90年代のデジタル系アンダーグラウンドまで!(青山正明×永山薫)

70年代の自販機本から、90年代のデジタル系アンダーグラウンドまで! アンダーグラウンドでいこう! 自販機本からハッカー系まで(青山正明×永山薫) 宝島社『別冊宝島345 雑誌狂時代!』1997年11月15日発行 70年代末、『宝島』から自販機本へ!? 同じ白夜系でも…

『ヘイ!バディー』編集長が語る「少女写真講座」

以下の文章は80年代の少女雑誌*1に掲載された少女写真講座である。 現在では不適切な表現も使われているが資料的観点や筆者のオリジナリティを尊重し、そのまま再録した。 (白夜書房『Billy』1981年6月創刊号所載「少女の時代」第1回。のちに同社発行の『He…

死体写真やマニュアルによって浮かび上がる“死のリアリティ”願望(1993年の死体ブームをめぐるレポート)

死体写真やマニュアルによって浮かび上がる“死のリアリティ”願望 “死の書”ブームは精神世界の行き着く先か。 所載:『アクロス』1994年2・3月合併号 岡崎京子『リバーズ・エッジ』(宝島社「CUTY」連載中)より。「自分が生きてるのか死んでるのかいつも分か…

因果者列伝・村崎百郎インタビュー(月刊漫画『ガロ』1993年10月号「特集・根本敬や幻の名盤解放同盟」題して「夜、因果者の夜」から)

因果者列伝・村崎百郎インタビュー(工員/江戸川区/O製作所勤務・30歳) 青林堂『月刊漫画ガロ』1993年10月号「特集・根本敬や幻の名盤解放同盟」題して「夜、因果者の夜」 ■雪焼けした女の健康美 ■歴史とは性交の具現なり。 ■若きナウマン象は美しく青白…