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エロ雑誌とオナニーと私―今をときめく天才編集者のエロ本原風景(青山正明)

エロ雑誌とオナニーと私

今をときめく天才編集者のエロ本原風景

青山正明

3度の飯よりオナニーが好きな私なのに、1日2回のオナニーしかできない寂しさよ…。いきなりダウンな出だしで恐縮だが、小学校5年生の夏の精通から数えて今年で26年、実に四半世紀以上にわたって毎日毎日オナニーし続けてきたこの私も、齢30の半ばを超えたあたりから、1日2回はどうにかイケるが、3回の射精は困難という状態に陥ってきた。ああ、寄る年波とは、げに恐ろしきものである。

オナニーを覚えたての当時は、『11PM』をはじめとする深夜番組には随分お世話になったし、‘80年前後、ビデオのハード&ソフトの普及以降は、いわゆるエロビデオも重要なマス材(ネタ)として数えきれないほど使用させていただいた。が、今日に至るまでなお、私のオナニーおいて欠くことのできない最重要のマテリアルは、ポルノグラフィーの類、いわゆるエロ本である。

 

ゴミをチェックしてエロ本を収穫

ここで言うエロ本も細かく分ければ、エロ雑誌、市販のエロ写真集、ウラ本、海外のポルノグラフィー等に大別されるが、私がベッドなり床なりにゴロッと横になった姿勢で陰茎をしごいて気持ち良く射精する際に活用してきたものは、これはあまねくエロ写真である。

世の中には少なからずいるようだが、私は文章や漫画では決してヌケない。したがって、ことエロ雑誌に限って言えばエロ写真さえ充実していればそれでいい、というのが私の持論であり、それ以外の要素として認められるのは、より豊かなオナニーへと導く道しるべ、要するにポルノグラフィーやエロビデオのカタログ紹介と、風俗情報のみと断言したい。

あっ馬鹿らしいので詳しい説明は割愛させていただくが、風俗遊びもセックスも、私にとってはオナニーの延長線上と言うか、オナニーのサブジャンルに過ぎないのである

今ではもうやっていないが、カネのない小、中学生の時分は、エロ本収集はほとんどゴミ拾いに頼っていた。ゴミが出される曜日は早起きして、近所を回って結束された雑誌を目にする度に、ひとつひとつ丹念に確認していき、発見したエロ雑誌を引き抜き、手にしたショッピングバッグに収めていった。「収穫祭」は当日の夜のお楽しみである。今宵のオナニーのことを考え、目眩を覚えるほどの劣情にかき立てられつつ学校から帰ると、その日の早朝に拾ったエロ雑誌をひもとき、股間にピンとくる写真があると、そのページをカッターで切り取って、ファイリングしていった。切抜きも100枚、200枚と溜ってくると、自然な流れで巨乳編、お尻の大きな女編、可愛い少女編等々、独自のテーマごとに分別して保存するようになっていった。

また、そうやって集めた雑誌の広告記事にも着目、「私の恥ずかしい写真密送します。切手500円分同封して下さい」といったものを片っ端からチェック、親の引出しから切手をガメて、バンバン注文しまくった。

そうこうしているうちに、あれは‘74年、中学2年の春、海外から一通のエアメイルが届いた。差出人はデンマークコペンハーゲンスカンジナビアン・ダイレクト・メイル。

開封してみると、中に入っていたのはオールカラーの豪華ポルノグラフィ・カタログで、ごくフツーの丸見え写真集に加え、スカトロもの、妊婦もの、黒人男性と白人女性の異人種姦もの、そしてチャイルド・ポルノ等々、ありとあらゆるポルノがジャンルごとに整理され、オマンコやオチンコ、肛門丸出しの写真に彩られた表紙がしめて100余掲載されていたのだった。

裏本が一般に流通し始める‘80年ぐらいまで、つまり高校を卒業する頃まで、私は、幾度もの税関での破棄処分通達にもめげず、お年玉を貰うたびに、その全てを投入して上記のSDM社に、様々なポルノグラフィを注文し続けた。そして、毎日毎日、最低2回、多い日には8回ものオナニー三昧の日々を過ごしたのである。

 

両親の見ている前でコレクションを焼かれる(涙)

今思い返せば、SDM社からのカタログが届いた中2の春から大学生になって、膣を使ったオナニーに耽けるようになるまでのおよそ5年の間は、誠に充実した毎日であった。第1次オナニー黄金期とでも称せようか。

が、楽あれば苦あり(逆か?)、陰陽の法則と言おうか、電脳時代の今なら0/1交互理論と言おうか、どのオナニーも心に残る楽しいものばかりというわけではなかった。

コレクションが親に見つかってしまい、両親の見ている前で、庭で全てを焼くことを強要され、涙したこともあった。また、とある事情で、隣に住む新妻から私の母へと苦情が舞込んだこともあった。

前述したように、当時の私は一晩に少なくとも2回は射精しており、その精液をぬぐったティッシュは自室のゴミ箱に捨てていたのであるが、いや、匂いが実にキツイのである。あの、何とも表現しがたいすえた精液臭が、自分の部屋ばかりか、家中にたちこめ、とてつもなく恥ずかしい状況になってしまったのだ。

これはイカン、親にバレる。まあ、今となっては可愛いもんだが、思い悩んだ私は、何をとち狂ったか、精液を拭き取ったティッシュを丸め、それを2階の自室の窓から、平屋だった隣の家の屋根の上にポンポンと捨てていった。そうして半年もたった頃、件の新妻の苦情が発生したのである。

雨樋から水がボテボテ滴ってきて、窓がビショビショになった。調べてみると、雨樋にはティッュがびっしりだった。これはおたくのお子さんの仕業に違いない──。

苦情の内容は右のようなものだったらしい。対応したのは母で、そんな報告だけを聞かされた私は、それらのティッシュが私の性欲処理に供せられていたものか否か等、ことの詳細を巡る会話が母と隣家の新妻との間で交わされたどうかはわからない。

ちなみに、その一件以来、20数年間、使用後のティッシュは、水洗トイレに流すようにしているが、トィレの排水管が詰まったことは2年前の1回のみである。

他にも、オナニーにまつわる失敗談は数えきれないほどある。

中3の身体検査のとき、「キミの身体は右半分に比べ腕も胸も左だけが異様に発達している。キミは左利きでテニスでもやっているのか?」そう担当医に言われた私だが、スポーツ等これっぽっちもやっておらず、心当りはなかった。

その晩、鏡の前にたって身体を映してみると、確かに左肩、そして左の胸筋が右よりも大きく迫り出しており、腕は太いばかりか、左の方が長かった。

ふと、そこで思い浮かんだのが、日課としてきたオナニーである。私は右利きなのだが、なぜかオナニーと糞をした後の肛門拭きだけは左手で行うクセがついていた。そう、毎日毎日、左腕だけを使ってオナニーを続けた挙げ句、左半身だけがいびつに発達してしまったのである。

その日以来、私は努めて、今日は左手、明日は右手と、左右交互に腕を使ってオナニーをするよう心掛けるようになった。この習慣は未だに続けている。

成人してからの失敗談と言えば、前の女房にはオナニー現場を10回以上も目撃され、あれは‘92年の春だったか、離婚直前、夫婦の関係が冷えきっていたこともあり、最後に彼女にオナニー現場を見つかったときは、それはひどい怒りようで、いきなりオナニーしている背後から無言のまま背中に蹴りを入れられ、彼女は家を出ていって、そのまま帰らぬ人となった。

あの時は、ダイニングルームのテーブルの下で、コレクションの巨乳編を床一面に広げ、極上のマリファナを吸いながらたいへん気持ち良くオナニーしていたと記憶している。フィニッシュまで持っていけなかったことは今もって残念でならない。

単なる自分の手指でのしごきに飽き、色々な複合技を模索した時期もあった。高校生のときだったか、扇風機の羽を束ねた中心部分に亀頭を押しつけ、気持ち良くなろうとしたのだが、そこはスベスベした金属製で摩擦率が低く、ちっとも刺激が得られない。

そこで、その部分にガーゼを貼付けてスイッチオン、グイッと亀頭を押しつけたものの、今度はあまりに摩擦がキツすぎ、私の亀頭粘膜は擦り切れて血まみれになってしまった。また、あれは大学を卒業してすぐの‘83年の夏、当時勤務していたコンピュータソフトの開発会社のトイレで、排便の快感と射精の快感を一時に味わってみたいと、ふと思い、しゃがみ込んで、オナニーを始め、脱糞のタイミングに合せて射精したことがあった。

が、射精した瞬間に肛門がギュッと締り、硬めのウンコであったにもかかわらず、ウンコは千切れて、射精&脱糞の快感は得られなかった。

後にピンクローターを購入、これならば肛門括約筋ごときで千切れる心配はなく、振動させ、それを出し入れしつつ、射精と疑似排便とのダブルの快感を堪能することができた。

こうした複合技を行うときも、もちろん私の傍らに常に、エロ雑誌の切抜きコレクションが広げられていた。

 

ドラッグとオナニーの関係

さて、複合技と言えば、セックスに媚薬がつきものなように、オナニーもまた、薬物の力を借りて行うと、快感は倍どころかケタ違いにアップする。

中でも一番のお薦めは、やはりマリファナ大麻)、ハッシシ(大麻樹脂)である。昨今、1,500円前後で手軽に誰でも手に入るようになったラッシュの類(プチルニトライト)を嗅いだり、カメラレンズの洗浄用のフロンガスをビニールの袋に吹き入れて、アンパン(トルエン)をやる要領で、吸い込む。

と、このふたつは、射精の瞬間に用いれば、かなりのインパクトで性感を高めてくれる。しかし、実際、合法的に手に入れるもので、マリファナ・レベルでの快感をもたらしてくれる物は存在しない。ここ数年流行りのハーバル・エクスタシーやら、クラウド9、ラプチャー等のリーガル・スタッフも、カバカバ、ヨヒンベ、ゴツコーラといった生薬等も、全然及びじゃあない。

勃起機能の刺激回復薬として唯一日本で認可されている塩酸ヨヒンビンでさえ、それほどの効き目は期待できない。吐き気や幻覚等、多々問題はあるにせよ、いわゆる幻覚性成分シロシン、シロシビンを含んだキノコ、すなわちマジックマッシュルーム以外、合法的なもので、しっかりと媚薬の役割を果たすものはこの世には存在しない。これは、紛う方なき真実である。

マリファナを喫煙してのオナニーは、筆舌に尽くしがたいほど気持ちがいい。また、これに並ぶスタッフとして挙げられるのが、かのティモシー・リアリーが‘67年、米プレイボーイ誌で「最高の媚薬」と喧伝したLSDである。これを服用してのオナニーも、いやはや、まさに「終わりなき性感マッサージ」といったアンバイで、一度体験すると、病みつきになること間違いなし。

ただし、男性の快感、すなわち勃起~射精のメカニズムは交感神経と福交感神経の絶妙なチームワークによって成り立っており、LSDを使用するとチンポは勃ちっ放しで凄まじい快感が2~4時間も続くのだが、なかなか射精には至らない。

ただ、この欠点はセックス使用に限って問題になるのであり、「オマンコ痛い」等という苦情が一切出ないオナニーにあっては、射精時間の延長は喜ばしい限りである。

セックス・ドラッグもとへ、オナニー・ドラッグとして皆さんがパッと思いつくのは覚醒剤やコカインだろうが、これもLSDと同じく、勃起はするが射精せず。また長期使用に陥りやすく、たどり着くのは悲しみのインボテンツ。マリファナLSDはお薦めできるが、こと性感増大使用に関して言えば、シャブやコカインには手を出さない方がいい。

アルコールや睡眠薬といったダウナー(抑制剤)も少量の使用なら、性感を高め、心地よい射精を得ることができるが、オーバードーズするとチンポが萎えてしまうのであまりお薦めはできない。

ダウナーの王様、ヘロインはまったくダメ。用いたその瞬間から、まったく使いものにならなくなってしまう。あと、シンナー(トルエン)もダウナー故、オナニー使用には向かない。しかしながら、チンポはフニャフニャなれど、何故か快感は残るので、長時間無射精オナニーにトライしたい方は、シンナー使用もありだろう。

参考までに、大学生の頃、一時シンナーにハマッていた私は、同棲していた女が外泊したときに、純トル(純度の高いシンナー)・オナニーに挑戦した。

結果は、夜の11時から翌朝の8時まで9時間もただただフニャチンをいじくり回して、射精せずじまい。自分史に残る、耐久マラソンオナニーとなったが、まあそれなりに気持ちは良かった。

 

スマートドラッグで挑戦

‘95年に大麻取締法に引っかかって逮捕されてしまったこともあり、現在、私はイリーガル・スタッフを用いてのオナニーは行っていない。正直、非常に寂しいのだが、それを潮に、「合法モノで、イケるのはないか」という探求心に拍車がかかり、また冒頭に述べたように30代半ばを過ぎて、「良い勃ち、良いネタ(エロ写真&薬物)、良い射精」が叶わなくなってきたという悲しい身体の老朽化を打破する、よい機会になった。

抜本的な精力の回復、つまり回春。それが、四半世紀を超えてオナニーを続けてきた現在の私のテーマである。中高生のときは、気に入ったエロ写真さえあれば、いつでもどこでも思う存分サッパリ抜くことができた。

あの当時のパワーさえ取り戻せば、非合法的な薬物など必要ないわけだし、また幸いなことに、現在の女房は日課とも言える私のオナニーに理解を示してくれている。

ガキの頃の第1次オナニー黄金期、そして20代半ば、マリファナ&LSDを用いての第2次オナニー黄金期に次いで、私は現在、1日2回の射精がせいぜいではあるが、第3次オナニー黄金期と言える状況にある。

決め手は、ミネラル、アミノ酸、そしてホルモン剤をメインとするスマートドラッグだ。

亜鉛とセレニウムのふたつのミネラルを、角50mg、50マイクロg毎日摂取。それに加え、4種のアミノ酸を空腹時にコップ一杯のジュースと共に飲む。具体的にはDL-フェニルアラニン1000mgを1日3回(計3000mm)、L-フェニルアラニン1000mgを1日2回、そしてL-グルタミン1000mgを1日2回、チロジン5000円mg1日2回。それらに加えて、一昨年あたりから話題になった生体時計を司る体内ホルモンの首領、メラトニンを就寝前に服用、あと抗欝作用のあるDMAEという物質を1日400mg、男性ホルモンの前駆物質DHEAを1日300mg摂る。

日本で市販されているホルモン剤は、テストステロン等のもろホルモンで、直接摂取すると結局は体內で自力でホルモンを作り出す能力が損なわれ、元も子もなくなってしまう。

だが、DHEAやプログネノロンといった前駆物質、つまり男性ホルモンの材料を摂取して、それが体内でホルモンに生化合されていくというプロセスを採れば、そんな心配はなく、めきめき性欲は高まり、精液は濃くなる。

ミネラル&アミノ酸&スマートドラッグのトリプル・パワーの恩恵を受けて、1日2回のオナニーペースを維持、満喫している現在、巨乳好きの私は『バチェラー』(ダイアプレス)や『Dカップ・ジャパン』(蒼竜社)、等身大の裸体ポスターが付いている『GOKUH』(バウハウス)や『Bejeon』(英知出版)を毎日購入して相も変わらず切取り収集作業を続けている。

さすがに理解あるとはいえ、女房の目の前でオナニーはしないが、見つかっても、「あっ、邪魔してゴメン」の女房の一言で片づくから、家中どの部屋でも、何時でも思いっきりオナニーに没頭することができるので幸せだ。

ついでに言えば中央から左右別々のバッグで仕切られ、オナニーしても振動が寝ている女房には伝わらない、とても便利なWジェルベッド(サンヨー製)を購入したので、エロ雑誌の切取りを見つつ、時折女房の身体に触れながら独り射精するという、夢のようなオナニーも可能となった。

そうだ。今晩は川口湖のレイヴに行って女房は帰ってこないし、原稿ももう書き終わる。(ここで一時原稿書き中断)そう思って、切れた煙草を買いに近くのコンビニに行き、図らずも『アクションカメラ』(ワニマガジン社)12月号と『ザ・ベストマガジン』(KKベストセラーズ)12月号を購入、前者に掲載されていた望月もも嬢の2ページ目のグラビア(使いこんだ感の漂う巨乳がいい)と、後者の180ページに掲載された風俗店『アンフィニ』の沢田ルミ嬢の美乳で、たっぷりと時間をかけて2発連続射精を遂げた。

うん、やはり2発が限度か…。まっとりあえず原稿書きはおしまい。仕事とオナニーですっかり体力を消耗し、眠剤メラトニンと精液を濃くする3種のアミノ酸──アルギニン・オルニチン・リジン各1000mgをかっ食らって床に就く、“初老(40歳)”まであと3年、37歳の私であった…。

付記ながら、膣をオナニーに用いるとき女の濡れが激しくノレンに腕押し状態になったら、迷わずチンポを引き抜いてタオルで拭き、ついでにそれを棒状にして膣に突っ込んでよく拭き取ってから再開するといい。

また膣の具合いが悪く、どうにも亀頭への刺激がぬるい女の場合には、女を横向きにして、向い合った体勢でチンポを挿入、手で女の腰部を上から押えつけると、膣の締まりがよくなるので覚えておくといい。

初出:ワニマガジン社『エロ本のほん』1997年12月(絶版)

 

世間に衝撃を与えた青山正明氏編集の『危ない1号』