突然変異社『突然変異』Vol.3/1981年11月15日発行
お年始ボランティアの薦め(奥中亜紀)
お年始ボランティアの薦め/奥中亜紀
1. 一年をふりかえって(新年への決意)
“完全参加と平等”をテーマに健常者と障害者が、がっちりとスクラム*1を押し進めてきた国際障害者年(IYDP*2)も残すところ一ヶ月あまりとなった。一体自分は、この一年、障害者のために何をしただろうかと、心を痛めている向きも少なくないと思う。しかし、実行は伴わずとも「ともに生きる」ことなら、あなたにとってこの一年は、決っして無為なものとはならなかったはずだ。そして来年こそは実践に移そうと固く心に誓っていることだろう。
そんな心ある読者のために先人の貴重な体験談を随所に織り交ぜながらサリ・マイ(手短か)にではあるが、「お年始ボランティア」なるものを理解する上で、何かヒントとなる様なものを記してみたい。
2.いきなり具体例
いきなり、具体例としてある少年の体験談を挙げよう。
「ポクは、今年女子大の3年になる目の不自由な女の人をお年始しました。彼女は身寄りがないのか独り暮らしでしたが、あらかじめ彼女の大学の点字同好会を通して紹介してもらっていたので快く招き入れてくれました。」自らをラジオ・ピョンヤン日本語放送第2プログラム*3の熱心なリスナーと語る外国人の少年は、流暢な日本語でとつとつと語ってくれた。
「持参のきんとんを差し出すと、まあ、きんとんには目がないのよ*4と言うおねえさんのパヤイ基本的に目がないんじゃないですかと言ったら表情が曇ったんですけどやがて互いにうちとけてかるたとりでもしようかということになりました。結果はポクの完勝でした。だっておねえさんたら一枚もとれないんだもの あはははは……」
ここで急に少年は神妙な顔つきとなり、こう語を継いだ。
「その時なんです。ポクの心に住む悪魔が頭をもたげたのは。その、なんてゆーか、ポクは普段から、直腸ガンで今にも死にそうなおじいさんの人工肛門にチンポをぶっこんだらどんなに気持ちイイだろう、なんてよく考えるんですけども、このおねえさんのカラッポの眼窩だったら気持ちイさはその比ではないんじゃないかって思ったんです。
ズム!と彼女の左の眼窩にチンポを突っ込むでしょ。
そうすんと、やがて涙液で潤ってくる。まつ毛の微妙な感触と眼輪筋など眼筋の著しい収縮に耐えられなくなってものの一分も経たぬうち、ポクは奥歯をくいしばりながら気をやってしまう。
眼窩に満ち満ちたアポロンの子らは、暗黒の洞窟からの出口を求めて彷徨する。あるものは視束管から頭蓋腔内にあふれだし、果てしなきニューロンの海へと、あてどない船旅にでる。
またあるものは鼻涙管に楽園へのとばロを求め、鼻腔に下り、前鼻孔よりいったん外界をかいま見てから彼女のうす紅の唇に吸い取られ、あますことなく嚥下される。
せんぶ飲んじゃったの、との彼女をおもんばかるポクの言葉にこっくりとうなずき、“おのどが焼けそう…”と右の眼窩を涙でいっぱいにする彼女だが、その間もポクの手指は、あふれんぱかりの涙をたたえた右の眼窩を休むことなく、優しくくじり続ける。
ああ、しどろなる情交の極北にあらわる、ろうそくの炎にも似た安定して不安定な、この、あえかな光は一体なんだろう。一体、このあえかな光は、あえかな光は……」
虚空の一点をにらんだきり、もはやいくら言葉をかけても何の反応も示さなくなった彼を鉄格子の向こうに残し、私はゆっくりと立ち去るのだった。
まあ、つまり少年は、単に気ィが狂ったというだけで実際にやったかやらなかったかは、誰にもわからない、ということだ*5。よろしく。
読者諸兄には、少年の当初の心構えのみを見習って頂きたい。
そりゃあ誰だって12歳ぐらいで、毛もそぞろのメクラの少女を地下室で秘かに飼ってみたい、なんちゅーことは考えることだが、それを実行するのとグッとこらえるとでは決定的な差異があり、その差異というのは、伊藤つかさ*6とオメコするのを想像してセンズるのと、本当に伊藤つかさとオメコするのとぐらいの差異である。
(中略)
さて、そろそろこのへんで、一応の総括を試みたい。
その前に、まず注意事項から。盲人用信号が赤のとき、あらかじめ用意したカセットテープレコーダーで“通りゃんせ”*7のメロディーを流す「ああ、人類愛の土俵際!自然淘汰ゲーム」は危険につき、絶対しないこと。手短かな人と動物園に行った折、手長猿は絶対目に触れさせぬこと。以上の二点を厳守し、誠心誠意「ともに生きる」ことを心がけよう。常に恵まれない人々とフィフティ・フィフティな間柄で接する気持ちを、我々は忘れてはならないのだ。
最後に結びの言葉として、国際障害者年のテーマを記す。
────完全参加と平等────
…この記事は80年代の伝説的なキャンパスマガジン『突然変異』からの転載です。特殊性癖『眼孔姦』早い話がアレを眼にブチ込むってだけのプレイです。
人間「穴」さえあれば、という妄想力の可能性を感じさせる実にヤなプレイです。生身の人間でやったら普通に死ぬので、二次元ありきの鬼畜系特殊性癖に留まってますが、現実のAVでも「眼射」くらいは一応あります。まあ、くれぐれも眼孔姦は死姦の内に留めておきたいですね。
さて白状すると自分は眼孔姦のプレイ内容が特殊すぎて“性的な意味”での興味は全然ありません。そもそも眼孔姦は世界的な普遍性を持ち合わせてるものなのか、それとも日本人という変態民族が築き上げたマイナーな性癖なのか、これもよく分からない。
そもそも何故この話題を取り上げてるかと云うと、たまたま手に取った80年代の変態ミニコミ誌『突然変異 Vol.3』(突然変異社/脳細胞爆裂マガジン)に眼孔姦をテーマにしたレポートがあったからです。
自分はこの『突然変異』に掲載されていた眼孔姦をネタにしたルポ記事を読んで、眼孔姦なんてしょせんオタク文化特有のニッチな特殊性癖だろうという偏見から、変態の権威である歴史的なミニコミ誌でも取り上げられるほどの実は普遍的な特殊性癖(?)ではないかと視点が変わっていった訳です。
『突然変異』といえばロリコンやドラッグなど鬼畜系の権威として知られる故・青山正明氏が編集に参加していたことで知られる慶応大学初のキャンパスマガジンで変態と知性が交錯する、日本一IQの高いトンデモマガジンでした。
しかし81年8月、『突然変異』に嫌悪感を抱いた椎名誠が朝日新聞紙上で「ゴミ雑誌、ゴキブリ雑誌。バイキンをまき散らすだけの雑誌」「書店はもっと中身をきちんと見て扱った方がいい」と糾弾し、それが要因となって僅か4号で廃刊してしまいます*8。
さて、この元祖(?)眼孔姦記事ですが、精神/身体障害者をネタにする時点で不謹慎極まりないんですけど、まあ内容がとにかく酷い(笑)そして背徳的な感じがエロくもあります。元々眼孔姦なんて特殊性癖は日本の変態オタク文化(特にネット文化圏)が産み落とした新手の性癖だと勝手に認識してましたけど、実は35年以上前に、しかも慶応のキャンパスマガジンがやってたというのは、眼孔姦の歴史(?)を覆す新事実ではないでしょうか?
もしかしたら海外のSM小説にも眼孔姦のルーツがあるのかもしれないですが、埒があかないので、ひとまず終了──。
*1:むろん健常者は、障害者に対し、ある程度の手加減をしなければ怪我をする。
*2:IYDP=International Year of Disabled Persons
*3:ちなみに第1プロは日本人向け放送。
*4:事実きんとんは眼を有しないので少年の誤解かと思われる。
*5:犯らないことにしておけば無難である。
*6:今年の冬には聖子なみの人気になっていると思われる。
*7:「……帰りはコワイ~……」という歌詞が“不安を与える”とのことで、現在、改訂の動きがある。
*8:『突然変異』3号の編集後記より「予定より一ヶ月以上も発行の遅れたことをお詫びします。つまらない問題を抱えてしまい、雑誌作りの方に手がまわらなかったのです。椎名誠という前頭葉に蛆虫をわかしたネズミが血迷ったためです。オドシや抗議の電話が殺到しました。本誌はまだ体制の整っていないミニコミですので廃刊に追い込まれなかったことが不思議なくらいでした(引用者注:結局4号目を最後に廃刊)。『突然変異』に制裁を加えるとミニコミ界の独裁者気どりでいきまく椎名誠氏に言っておきます。朝日新開の権威を貸りて、『突然変異』を書店から閉め出そうとしたあなたは、同じミニコミを作っている人間とは信じられません。雑誌に対して、好き嫌いを明確にすることはいくらやってもかまいませんが、しかしあなたはその域を明らかに超えています。精薄児を笑いものにしているというのも所詮あなたの悪意的解釈に止まっているのですから。もっとも笑いの対象にしていると取られても、いっこうにかまいません。何も知恵連れの子供たちを特別視することはないと思っています。むしろあなたの方にこそ差別意識があると感じます。権威の頂点に立つ天皇も、弱者である精薄児も同じレベルでチャカしているわけで、そこには差別意識はないとハツキリ言っておきます。すべてを同等と考える上で、これは一つの試みである筈です。あなたが『良識』を振り回すなら、こちらにもこちらの『良識』があるのです」