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ワンダーキッズ(高木秀隆)/フェアリーダスト(吉田尚剛)インタビュー「ロリータアニメの創り手たち」──アダルトアニメの黎明期

インタビュー「ロリータアニメの創り手たち」

構成・秋野宴

所載『ビデパル』1985年1月号

アダルトアニメは今年(1984年)7月以来今月迄ヒットチャート独占というビデオファンの圧倒的支持によって迎えられた。この分野のパイオニアワンダーキッズ。続いてそのマーケットを決定づけたのはフェアリーダストである。以下に二社のインタビューを併記する。

通常のアダルトビデオの流れは、本番ものブームでそれも次第にエスカレートしてきており、より可愛い子ちゃん、よりハードさをと、しのぎをけずっている。アニメの分野にもそれを引きうつしたように反映している。しかも、アニメはまさにイマジネーションのダイレクトな投射であるという点で生撮り以上に過激である。事実、くりいむしレモンの実売一万本というのは過去に代々木忠の『ザ・オナニー』に追随する本数であり、しかも多数のアニメファンをその数のなかに含んでいるということは、ビデオファン層をおし広げる役割もはたしていると云えるだろう。

現在、他に6メーカーが更にハードなアニメを製作中であるという。今号が店頭に並ぶころにはポチポチとおめみえするだろう。スケベ感覚ドキドキ期待といったところだ。インタビューにこたえる人はフェアリーダストの吉田尚剛氏(現・アミューズメントメディア総合学院代表取締役)とワンダーキッズの高木秀隆氏である。

 

ワンダーキッズ

中島史雄原作の『雪の紅化粧』『少女薔薇刑』の女高生ものから『仔猫ちゃんのいる店』の幼女ものオリジナルまで幅広い作品を製作

ロリータアニメの先駆者的存在。後にブームとなるための要素が全て、ここに集約されている。最新作は今、ベスト10の上位で安泰している。

──第一弾を出すにあたって全くこういうものがなかった訳ですから決断はどのようなところで。

高木:実写ビデオでアダルトはやりたくないというポリシーでアニメというセクションの中からビデオの持つ生の世界を表現したい。これだけロリータものが漫画の世界に定着しているのだからロリータアニメという形でビデオにしてもいいのではないかと
ワンダーキッズの他の業務は。作品の制作販売をやってます。ポニーやソニーの販路をかりて販売しているのですが。オフコース、テラ、スネークマンショー、とかカラオケなどですね。

 

──中島史雄氏の原作について。

高木:中島さんに話をもっていった時、自分の描いた絵が動くということが非常にロマンというか希望というかアニメビデオをやってみたいということで実現したわけです。それで、当初第10弾まで出そうということがあって、そのプロセスで進んでいます。

 

──製作行程に立入ってお聞きしたい。

高木:製作費は1500万くらい。16m/mで撮影しています。音楽はオリジナルで第三弾はマルチチャンネル録音でHi-Fiになっています。セル画は8000枚くらいつかい、人物の動きをナチュラルにしようと心がけています。

 

──音楽について。

高木:今の若い人は音楽で動いているとうところがありますから。事実、アンケート葉書をみると『音楽をたのしめてよかった』という反応があります。音を聴いて映像にひたれる。そこで桃源郷の世界に遊べるというか。

 

──キャラクターについて。

高木:第一弾、第二弾をみていただけるとおわかりと思いますが年令的に16、17才代の世界をつくりあげてしまった。原作では小学校四、五年の感覚なんですがあまりにも年令的に10才前後というのはいたいけなんですよね。

それでいやだと。5、6才あげれば、中学生、高校生であればそういう世界であってもおかしくないんでないかということでキャラクターを決めた訳です中島史雄ファンは怒ってますよ。中島史雄の世界じゃないと。

彩色ですが、アニメの世界では僕らのは異質なんですね。普通アニメでは紗がかかってるんですね。それに色のバランスとかいろんなことが決まってるらしいんです。それをみんなぶち壊してるらしいんです。色を原色にとかもっと鮮明になんて。ビデオは鮮明であるべきだっていう意識があるもんで。アニメーターは大変だったようです。異質なんでしょうね。つくってみて異和感はあったけどそれなりにいいなんていってましたけどやはり、『くりいむレモン』は違いますね。もっとファーとした紗のかかったファンタジックな世界ですね。

 

──ビデ倫について。

高木:僕自身ビデ倫は初体験で第三弾にしては7ヶ所修正して欲しいと。女性の陰部の線の描き方がリアルであると。

一、二本削ってくれればリアルでない。アニメーターは女性の部分は(直しを)今からやると大変だから反転(陰画)するしかない。線画の反転だとちょっとグロっぽいんですけど、そういう加工して再審査に持っていったら、いいですって。逆にその方がとってもリアルになってかえって線がはっきり見えますからね。ヒワイだと思うんですけど。

 

──草分けでやられてその反響は。

高木:『ワンダー=ロリータアニメ』っていう見られ方してましてね。はじめはそうじゃなかったんですよ。ビデオでアニメをやってみようと、よそでやってないアニメをというので始まり、それでアダルト的なものをやったんです。本当は普通のというかアダルトでないものをつくる気はあるんですがそれが何かっていうのが見つからないというのが現実ですね。私達の後続でフェアリーさんにっかつさんと知ってるだけで五社がつくってる。それだけ出てきたならアダルトはそちらにまかせよう。もっと違うものをやっていきたいです。

発売当初の反響はすごかったですね。1日100本200本はすぐ出ました。一時在庫が無くなって一週間くらいオーダーストップですよ。現金書留は一日二回ドサッとくるし。第一、二弾が5000本、三弾が8000本ですか。だんだん伸びてきています。なにしろ営業が二人しかいないので大変です。

 

──新作の工夫は。

高木:キャラクターはアニメ的に可愛く明るく、そして内容はSMの世界ですね。宙づりにしたりとか。それとフィルムからテレシネで1インチにあげる時に単純に引きうつすのではなくてビデオ効果ってありますね。そういうもの、DVとかミラージュをつかってやっています。

 

──アニメーターの人達について。

高木:最初の劇画タッチのアニメにはすごい抵抗があったようですね。第三弾はのりましたよ。『これだよアニメは』って。のりにのってました。

 

──今後の見通しは。

高木:ロリータアニメがどこまでいくかですね。普通の(ロリータものでない)アニメを、自分達は自分達の方法で開拓していきたいと思ってます。

ワンダーキッズは1985年10月21日発売の一般向けOVA『酎ハイれもん LOVE30S』を最後にOVA作品製作とリリースから撤退し、その後倒産した

 

フェアリーダスト

好評『くりいむレモン』シリーズで、近親相姦からSFまで、えんたーていなーする女の子を描いて人気上昇

くりいむレモン』シリーズが、アダルトアニメのブームを定着させたと言える。12作目は予想以上の売れ行き。男性ファンだけではなく、女の子の興味もひいているというナイーブな絵作りが魅力なのかも知れない。

──売れていますね。どのヒットチャートを見ても『くりいむレモン』が第一位です。

吉田:我々はこれまで『マクロス』とか『うる星やつら』とか手がけてきました。ポルノというよりアニメの延長ということでやってますから。単にエロアニメとは思ってません。これが一般のニーズに応えることができた理由だと思います。

 

──実際どれくらい売れてますか。

吉田:一万本は越えてますから。年内に15000は行くのではないかと。

 

──2タイトルともに。

吉田:はい。両方で30000。我々も非常にびっくりしてます。まさかこんなに出るとは。……はじめは5000本を目安にしてましたから。もう一ヶ月で一万本いきまして。すごいパワーですね。これで(美少女アニメの)34が(これまでと)違う傾向の作品なんでまた新しい局面ができるんではないかと思ってます。

 

──美少女アニメを制作する過程を。

吉田:企画段階でまず問題なのがキャラクターデザインをどうするか。ヒロインのそれが常にポイントになります。我々はこれ迄の体験でどういうキャラクターがいいかファンが何を望んでいるか熟知している訳です。現場ではこれまでテレビや劇場用のアニメをやってて子供対象の限界っていうものがあってやりたいことができないわけですよね。で、それがすきなようにやれということで現場がのりにのってですね。

……キャラクターを決定する過程でいろいろコンセプトが出て、基本的には可愛いというところで俗に云うロリコンファンが好むようなものを何十点か出たなかで選んで、どういうコスチュームか、髪の色はどうか、ひとつひとつ検討して、相当時間を費しますね。ストーリーとか設定よりもキャラクターのよしあしが売れゆきを決定しますからね

 

──セル画の使用枚数は。

1、2は6000枚。普通テレビでは3000~5000くらいですから使ってるほうです。3、4は通常枚数より大幅に出ちゃって、4なんか8000枚こえちゃって……。

 

──25分で8000枚! すごいですね。

吉田:驚異的ですよ。観ていただいたら劇場(用アニメ)をはるかに超えた内容になるでしょう。それでビデオ公開の準備をしています。


──セル画を撮影するのは何m/mで。

吉田:テレビなどは16m/mなんですが、その後の展開(劇場公開など)も考えて35mmで撮っています。(※アニメの製作工程はまずキャラクターをおこしセルに描き、それを一枚一枚35m/m(又は16m/m)に撮影する。一定時間内のセル枚数が多ければ多いほど動きはなめらかになる)

製作費は一タイトル全部いれて、2000万円。3、4は音楽をHi-Fiにしているので5000万くらいオーバーしています。1タイトルにかかるスタッフ数100人。普通の生撮りアダルトとは全然規模が違う。知らない人は(アニメなんて)すぐできると思うようですが。

 

──声優さんは。

吉田:主役の女の子がやってます。アニメファンはみんな解かりますから『この人じゃないですか』と云ってきますけど『ちがいます』ていってます。みんなわかりますね

 

──ビデ倫について。

我々も正直云ってビデ倫ってのが全く解からない状態で……どこがよくてどこが悪いか……経験がないんでそのまま出したらむこうはすごいショックだったようですね。判断できない訳ですよ。それで保留ということになって理事会を開いて、これはもう一度やりなおせと

 

──やり直しですか。

吉田:全くリアルそのもので全部男と女のからみでしょう。ものすごくリアルなんですよ。実写よりリアルなんですよ。(ビデ倫の審査員)お年の人達でしょう。言葉がでないというか。『いやー、すごいですね。』って。(やり直しで)我々はガックリですよ。

 

──成人向けアニメのヒットする訳。

吉田:今の若い人はマンガで育ってきてますから割と簡単にマンガに感情移入できるでしょう。それとピーターパンシンドローム的状況という時代背景もあると思いますね。

 

──他社でも製作にかかってるけど。

吉田:わからないですよ。柳の下にドジョウがいるかどうか。ポルノの意識で作ってもマニアがわかってなければ。アニメって簡単なようでなかなか難かしいですから。アニメファンは目が肥えてますからね。

 

──購買層は。

アンケート回答からみると20才前後が圧倒的に多い。この手のファンはすごいですよ。生撮りアダルトのものはレンタルショップでしか流れない。買ってみるということはしない。これは買うんですよ。買ってでも置いておきたいと。そういう意味で今後まだまだビデオマニアはアダルト以外のものに広がる可能性をもった分野だと思いますね。


●シリーズは今、絶好調。11月30日発売の第3、4作目は本誌別ページで紹介。前2作同様、またまたベスト10上位に喰い込むのは間違いないだろう。

 

またまたくりいむレモン美少女アニメの世界へ……連れてってあ・げ・る

構成・深谷智彦

キミは『くりいむレモン』を見たか?! ナヌ? 未だ? 一度ダマされたと思って、ボラれたと思って、観たんさい!

胸キュン少女ワンサカ、ハダカもバッチシ、オ毛々ナシの素晴らしい感動と官能の世界へタイムスリップできるだろう。その魅力的なキャラを一挙に紹介──!

再び登場の、ロリータ・アニメです。ロリータ・アニメといえば『くりいむレモン』です。先月号のAVフォーラムのページでも紹介しましたが、あまりの人気の為、拡大して今月再び贈ろう、とあいなった。

まあ見てくれ! 上だよ上ッ。かーいいったらありゃしない。パート2とガラッと変わって、新作③④は活劇モノ。かーいいアンヨとおテテでしっかり、えんたーていないしているのだ。アダルト物だから中学、高校生のボクたちは観られないけど、『くりいむレモン』GALsは18歳以上お断わり! 青い色香ムンムンの美少女美幼女しかダーメ。当然お酒も煙草もダメ、でもSEXだけはOK。恋に目覚め、性を意識し始める年頃、男と女の情念、けっ、そんなモンくそくらえっ! おままごと、のSEXだーい。だからかーいいんだーい。Part3の『POP♡チェイサー』のコンテを見ると、

カット112・頭、マイちゃん、左手でまさぐるしばいの後、カプッチョ。リオも動く……。
カット113・マイちゃんの右手。
カット117・前カットのポーズから頭上げて、リオ「アッアッ……ね、マイちゃん、もうやめましょ」マイ「いいえ……まだまだサービスしますわ」リオ「……ン……ン……」
カット118・カットいっぱい、ゆっくりPAN。2人とも、口をングングしている(F・O──)。
カット128・ピロピロやってるマイちゃん...。
──どうだ、もうタマンナイでしょ? あっ、立ってきた。ちょっと失礼……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………はあ。あれ? 何見てんだよォッ

えっとォ、とにかく、シナリオのまんま、こんーなちっこい女の子が、イヤラシーことをやってくれちゃってます。『くりいむレモン』シリーズは今、アダルトソフトの中では一番売れている。だから新作がバンバン出ちゃうわけ。何でこんなに売れるのか、今更説明するまでもないよね。

おかげで各社がロリータアニメの製作に乗り出し、にっかつサンは内山亜紀の作品をビデオはもちろん、映画でも封切っちゃうというんだからね。ロリータアニメ以外ありえない御時勢になってきた。それもこれも『くりいむレモン』のおかげ。やっぱり元祖はオモシロイし、かーいい。では、その内容を紹介ー。

③『ポップチェイサー
西部の町ネオ・カンサスシティー。荒くれ無法者がまかり通る町に、ひとりのかーいい女ライダーが現る。ジャジャジャーン。「リオ」──少女は名乗った。この、さすらいの女ライダーは、女高生サロンでマイという、これまたかーいい少女と出会った。ここから愛とムフフの大バイオレンスセクシャル活劇が展開──!

④『SF・超次元伝説ラル
死ぬ程かーいい美少女が、ある日、異次元空間ラルにワープしてしまった。そこでラルは、やっぱり発作を起こす程かーいいユリア(ラル国王女)と知り合い、いわゆるダチになる。が、ユリアは悪い悪い騎士団のオッサン共に捕らえられてしまった。ムフフもんの辱かしめをめいっぱいされちゃうユリアを果たして救えるか──!。おぼえていいますかァ♪マクロスも敵わぬSF大冒険ファンタジーかーいい美少女の躍動感──これが今回の売り物。

どんな美少女も思いのまま、アングルも自由自在──“ナマ”が売り物の本番チョメチョメじゃ太刀打ちできないロリータ・ワールド。宇宙企画でも行けなかった大宇宙へ、今夜はワープ。ボクだけの美少女にエスコートされて『くりいむレモン』で夢のデートを!